No.13 風に向かって走れウィンドカー  '98年〜実施 2000.9.26.掲載, 2009.9.6最終更新

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風によって風に向かう

モーターなどの動力でなく、風の力で走る風力自動車が風に対抗して、風の正面に向かって走ることはできるでしょうか。

ヨットが風上に向かうにはジグザグな進路をとって遠回りします。

ウィンドカーは風に逆らってまっすぐに風の方向に進むことができます。

簡単なものなら、小学生も作れます。

2008年6月8日

茨城県立中央高校 学校開放講座

講座の様子とコンテストの報告

2008年8月22日

新潟県立魚沼テクノスクール

ものづくり体験

 

2009年8月1日

佐原中央公民館オープンスクール 

清真学園「ウィンドカーを作ろう」

簡単ウィンドカーの作り方

以前にこのページで紹介していたのはゴムとプーリーで回転を伝える方式のものでしたが、長い糸ゴムの入手と調整が必要でした。以下に紹介するのは、糸巻き式のものです。もちろん糸のかわりに適度な長さの糸ゴムに代えても動きます。

まず、プラスチック段ボール、プラダンでシャシを作りましょう。後輪部は次の図のようにプーリがシャシに触れないように軸受け部分を作ります。軸が通るプラダンの裏側に切れ目を入れると、後輪軸の竹串が簡単に取り外しできるようになります。

後輪軸は竹串で作ります。中央には網戸ゴムを取り付けて糸巻のプーリとします。少し滑るようなら瞬間接着剤をたらして固定します。その上に片面ダンボールを巻き付けて接着し、直径を太くします。太ければ太いほど減速比が大きくなり、回転力が大きくなります。ただし、回転速度は遅くなります。この太さは完成後、走らせながら再調整した方が良いでしょう。

補強のプラ段を両面テープで貼り付けます。プラダンのスジの方向に注意して下さい。

 

プロペラ、スペーサ、ワッシャ、軸、軸受け(プラダン)、ワッシャ、固定ゴムの順に竹串を通して、プロペラ軸にします。竹串の代わりに直径2mm程度のステンレス棒も使用できます。プロペラ軸の支柱はアルミアングル材などを使ってシャシに固定します。

プロペラ軸の後方は長く余らせて、多少糸の位置がずれても糸が外れないようにします。

 

プロペラを自分で作る場合

市販のゴム動力飛行機用のプロペラは意外と重く、バランスもバラツキがあります。自分で作るプロペラは大きさやプロペラピッチなどが調節可能です。たとえば、次のように、割り箸と厚紙で作ることができます。

 

羽根の端っこから見ると、このように見えます。

なぜ風に向かって走れる?

車が風を受けると、風下へ押し戻される力、空気抵抗の力を受けます。

プロペラの回転力を減速して力強くした車輪の回転力(軸トルク)が十分であれば、ウィンドカーは空気抵抗の力に勝って前進できます。

プーリーやギヤなどで減速比を大きく設定すれば、多少プロペラや車の性能が悪くても、必ず前に進ませることができます。

もちろん車体はなるべく空気抵抗を小さくするように、また、プロペラも空気抵抗が最小で回転力(翼の揚力)が最大であるように調整すれば、減速比を小さくする事ができ、速い速度で前進できる高性能のウィンドカーを作ることが出来ます。

 

プロペラがかんじんです

右図はプロペラの翼の断面であり、矢印はそれにかかる力を表しています。

飛行機の翼にかかる力と全く同じです。抗力(空気抵抗)が小さく、回転力が大きい翼が優秀な翼です。そのためには、翼の適度な傾き(迎角)が必要です。

ところで、プロペラの翼は根元から先っぽまで同じ傾きが良いかというと、そうではありません。

プロペラは回転しているので、翼の先っぽに載って風向きを観測してみると、右図のように、翼端近くではずいぶん斜めに風が吹いています。もし、翼が上の図のような傾きだったら、翼の裏側から風が当たっていまい、揚力(回転力)は逆向きになってしまいます。だから、右図のように翼の角度を変えた方が良いわけです。

したがって、プロペラの根元は上図のように浅い角度で、先っぽに行くにつれて右図のように深い角度になるように変化させる必要があります。市販のプロペラはこのようなネジれを持たせて作られています。

 

はみだし情報

もし、初め上手く走らなくても、いろいろと改良すると思いがけない速度で風上に向かって走るようになります。

タイヤが滑る場合は輪ゴムなどをプーリーにはめて、滑り止めにしたり、シャシに重りを載せたりして、工夫しましょう。

プロペラを使わないウィンドカーを色々と考えるのも、工夫が生まれて、面白いです。土浦工業高校理科研究部のHPにも色々な例があります。

東京書籍『おもしろ実験・ものづくり事典』(2002年2月発行 ISBN4-487-73761-3) に内容の一部を掲載しました。

少年写真新聞社「理科教育ニュース」(2002年11月発行)に解説文『風により風に向かう』として掲載しました。

   

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